数字の裏にある現実~捨て犬捨て猫事情
ほっとかこがわの事務所の入り口には「人に捨てられました、でも人を求めています」と書かれた大きなポスターが貼ってある。KRDCドッグレスキューネットワークの里親募集のポスターなのだが、最近このポスターをみて、たてつづけに人が訪ねてきた。
なにやら引っ越しをするらしのだが、引っ越し先が犬を飼えないそうで、預かってほしいというのだ。このポスターを見てなにか犬を預かるサービスをしているボランティアと間違ったのだろうか?
「飼い主さんがいる犬や猫は、飼い主さんが責任もって何とかしてください」と丁重(でもないが…)に言ったのだが、なんか納得いかない顔をして帰っていった。
ペットブームということで、犬の登録は年々増えている。中でも兵庫県の上昇率は2004年度の厚労省のデータによる全国7位だ。その一方、犬の処分頭数は減少している。
数字だけを追うと、いい傾向かのように見える。が、そこは数字のマジック。景気なんかも数字でみてはその陰に隠れた不景気に気がつかないのと同じで、どうもそうではない現実があるようなのだ。
たとえば、捨て犬というと多くの人の頭に浮かぶ光景が、公園とかで段ボールに入れられてキューキュー泣いている子犬だろう。犬の散歩コースに誰かが拾ってくれるように、こっそり捨てる。実はこれは、もう過去の捨て犬のイメージだ。
今は、コンビニの袋に入れられて、溝の中でキューキュー泣いていたり、ゴミ袋の中で絶命し海にプカプカ浮いているのである。
ここ数年で、犬の捨て方がずいぶんと変わってきた。こんなこと言うと変ではあるが、以前は犬の捨て方にも、まだ人間らしさがあったのだ。今は確実に死ぬことを前提として捨てるケースが多いようなのだ。こういった形で捨てられる数は、もちろん数字にはのぼらない。
また、ボランティアと称して犬やネコを引き取るようなフリをして、実はその犬や猫を、どこかに売りさばく業者や、高額の引き取り料を請求するような業者もいるらしい。
引き取られた犬や猫が、どれぐらいの金額でどこへいくのかはさっぱり解らないが、こういった業者の存在は確かに存在するようだ。
どうも組織的な動きをしていて、里親募集の張り紙を見て夫婦でネコを引き取りに来られ、その場で渡すと住所や電話はすべてデタラメというケースもある。
多くのボランティアは、それらの情報を共有したり、身元を確認するまでは引き渡さないなどの予防策をしているのだが、個人で里親募集をしている人はこういった実態はほとんど知らないのが現状だ。もちろん、この手の犬や猫の数字もデータには上らない数だ。家族でこの手の詐欺をしている例も報告されているので、家族がこの手のビジネス(?)で食べていけるぐらいの数だから相当なものではないかと思う。
最近、多いのが地域ネコ。誰か特定の飼い主がいるのではなく、公園や神社などで餌をもらい野良として生きているネコだ。
「半分飼われていると」いう言い方をする人もいるが、飼われているとはそのネコの生死も含めて、責任を持つ人間がいることを言う。この手の地域ネコは、誰も責任をとる人がいないので野良ネコといっていい。
その多くは避妊去勢などの処置を講じていないので、数はどんどん増えていくことになる。エサをやっている人たちは、そこまでのことは考えていないのが現状だ。この野良ネコの数もデータにはあがっていない。
数字の陰にある現実。数字というのはマーケティング調査でもアンケート調査でもそうであるが、そこには必ずバイアスがかかる。数字から導き出される方法論や法の改正でいつも混乱するのは、本当に現場で動いている人たちだったりするのだ。
※写真は、加古川某所の地域ネコ。最初は2~3匹だったのが、子供を産んだらしく大家族になりつつある。かわいそうとエサを与える行為が、さらなるかわいそうな結果を産む。
| 固定リンク

コメント